備忘録として

巨大建築論争

事の始まり:神代雄一郎 (新建築1974.9)
1.設計のクオリティ低い建物多くなりましたね(4000人のコンサートホールとかアホらしいでしょ)
2.最適な規模じゃない建築多くなってきましたね。(規模がでかい)
3.日本の建築設計って漸進してないですよね、新しいものは古いものより良くないとだめですよね。
4.それなのに近頃建つであろう新宿のビルって、微妙、窓の色とか青色でダサい、あと最高裁判所も微妙(外装材の張り方がつまらない、モノとして貼られてない)
5.上に比べて、東京海上ビルいい!主に外装材のレンガ!他にも幾つかたくさんの良いビルあるけど、悪いビル増えた
6.設計者の年齢の問題だろう(人格形成が戦前派と戦後派に分けられる。)
7.巨大なもの作る時、建築家としてちゃんと考えてますか?
8.これらの論は基本的に浦辺さんの指摘した巨大化する傾向、特に巨大建築への抗議ですよ。
9.私が調査した結果、規模は200戸、1000人単位がコミュニティとしてすぐれていますよ。
10.日本のコミュニティを復活させましょうよ。無機質なビルなんか建築家がやるべきじゃないですよ。


反論:林昌二(新建築1975.4)
1.1年前の神代さんの論考の低俗さに呆れた
2.本論は反論ではない
3.今の社会は過密社会ですよ、オフィス街に庭付き一戸建て立てるみたいな話って現実的か?
4.そもそも建築家って社会に対してそんなにえらいか?
5.コミュニティとか意味不明、そんなものコンサートホールで起きる必要ないし、起きない。そんな話を一般誌である新建築でするのって本末転倒ではないか
6.社会に求められた大きなものを建築家のうちで、誰かがやらなきゃいけない(そりゃみんなやりたくないわ)
7.東京海上ビルって言うほど名作じゃないでしょ、ひと時代前のビルでしょ(これからのビルは上から見られることも考えなければいけないが、アレはそういった視点がない、レンガも超高層には使えないでしょ等)
8.年代とか関係ない。一人で作ってないし、グループで作ってるし、世代またいでます。もっと具体的に指摘するのが年上(神代)の役目でしょ
9.「しろうと」見たいですよ

反論2:池田武邦(同上)
1.最近の批評家ってダメだなと思ってたら、神代もその一人だった
2.批判する時は責任持って、ちゃんと理解して下さい。神代が批判したビルの窓の色は工事中の仮囲いの色。完全に論外
3.巨大なものを設計してる我々は責任持ってやってますよ、建築ってどう使われるかが大事でしょ
4.それなのに、できる前から有る事無い事勝手に想像して批判するなんて滑稽です

以後、神代の味方をするものが現れず収束。

林と池辺は鬼の首を取ったように批判し、神代は批評の世界から一線を引いたこの事件。

今は新国立を代表にむしろ真逆の社会(巨大なものを建てるなという風潮)が建築を作ってる。
40年ほど前からもう真逆の状況が起き始めている。果たして社会は長期的な視点を持ってるのだろうか。社会を盾に建築を作ることができないとしたらば、なにを持って建築を作るのか。